title>覚 和歌子 アルバム「青空1号」インタビュー 第4回
「青空1号」リリース記念インタビュー 第4回 (聞き手/カストル) |
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カ・ | 「om」というユニットは、覚さんの歌と鶴来さんのピアノという編成だったわけですよね。ライブの時もそうやって? |
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覚・ | ライブの時は、元カーネーションのギタリストの坂東次郎さんとか、ベースの吉田建さんとか、お手伝いしてもらってました。ライブではテープも使ってました。時代ですねえ、テープだって。(笑) |
カ・ | なつかしいんだ。ボク知らないな。 岡田さんと出会ったのはこの頃ですね。 |
覚・ | そう。「青空1号」のディレクター今泉さんが、横須賀の東南西北のライブで引き合わせてくれたんですよ。この時期88年頃は、作詞の仕事と「om」と両方やってた時期ですね。 |
カ・ | 岡田さん、当時はどんな感じの方でした? |
覚・ | 今と変わらずお洒落なジェントルマン。でもすでにダジャレは連発してたな。 「蘇るキンロウ感謝の日、は、うん坊(ムーンライダーズの元マネージャー)の誕生日」とか「体調ブーリバ」とか。 CMの歌の仕事いただいたり、岡田さんのソロアルバムにコーラス参加させてもらったり、歌詞も書かせてもらったりしてたから、現場でダジャレ攻撃に遭う確率は高かったです。 |
カ・ | そうそう覚さん、CMで歌ってたりもしたんですよね。 |
覚・ | ほんの一時期ですけどね。 |
カ・ | 岡田さんはムーンライダーズのキーボーディストですよね。「セーラ」の鍵盤感覚が岡田さんのハートをつかんだんでしょうか。 |
覚・ | 「出窓ミュージック」というのは岡田さんの命名なんですが、閑静な住宅街のなだらかな坂道を歩いていると出窓から聞こえてくるピアノの音、そんなイメージの曲だと言われました。これは高度成長期に子供時代を過ごしたことのあるひとにはよくわかるんですよ。 それと岡田さん、父娘モノにも弱いんです。(笑) |
カ・ | 今回「青空1号」に収録されている鶴来さんの曲は5曲ですけど、たしかに土曜日の出窓から聞こえてきそう。 |
覚・ | 岡田さんは、今この時代にこのアルバムを出す意味があると言ってくれてます。あのね、聞いたんですけど、日本が高度成長期を迎えるちょっと手前の時代のインテリアとか雑貨とかデザインなんかが、とても流行っているんですって。今は本当に厳しくてしんどい時代ですから、日本がのどかで、しかも元気がよかったなつかしい時代の雰囲気への欲求があるのかなと思うんです。 私はこのアルバムを、いわゆるエバーグリーンもののつもりで作ったんですけど、岡田さんが「今、このアルバムを世の中に問う」と言うのであれば、もしかしたら巷で欲求されてる「のどかで活き活きしている」なつかしい日本が新しいカタチを得てここにあって、それが時代と響き合うことになるのかな、と。 |
カ・ | なるほど。 |
覚・ | または、私さっきエバーグリーンと言いましたが、何でも次々にめまぐるしく変わるよりどころのない時代だからこそ、そういう「永遠性」のようなものを提出することに意味があるのかもしれないと思ったり。 |
カ・ | ボク思ったんですが、今回このアルバムの中の詩には直截なメッセージ性があまりないんですよね。 |
覚・ | メッセージ性のある歌というのは、やはり時代々々の産物ですよね。 ほうっておくと私はイメージのコラージュの世界に行きます。伝えたいことはいつもあるんだけど、できるだけ押しつけがましくない、匂いのない言葉と方法で、と思ってます。 |
カ・ | ああ。たしかに絵みたいな手法というか、イメージの伝え方ですよね。 |
覚・ | うん。ただそこに在るだけっていうのが好き。そこに同調してくれもらえるのがうれしい。 |
カ・ | なるほど。5年前ぐらいはケルトをよく聴いてましたよね。 |
覚・ | カストルさんからいただいたケルティックララバイのCDすごくよかったよ。あれ愛聴盤になってます。ありがとうね。 |
カ・ | ありがとうございます。「ようそろ」ってその感じの曲ですよね。 |
覚・ | ヨナ抜き音階は、やはり日本人のハートをわしづかみにしますよね。岡田さん十八番の世界ともっぱらの評判です。 |
カ・ | 詞に関しては実話ですか。 |
覚・ | 秘密。 |
カ・ | へえ、実話なんだ。 |
覚・ | ノーコメント。 |
カ・ | 「クオレ」は。 |
覚・ | これは自分の少女時代へ向けたエールみたいな詞ですね。蔦のからまるチャペルで祈りを捧げる感じですか。 |
カ・ | ペギー葉山? |
覚・ | へえ、知ってんだ、えらいね、若いのに。 |
カ・ | 木村弓さんと一緒に語られる機会が多かったせいか、ジブリの世界とくくられがちですけど、これ、全く、全然、違いますよね。 アイディアの来るところが異なっているというか、違う音楽世界に住んでいるというか、そういう印象を受けます。 |
覚・ | 宮崎監督とは言葉の趣味は結構合うところもあるんですが、音楽の趣味がちょっと違うみたい。監督は音楽をサウンドでなく意味で聴く世代なんだよね。 といいつつジブリ映画にリンクする「いつも何度でも」(映画「千と千尋」主題歌)とか「真夏の振り子」などの曲も今回アルバムには記念碑的に入れてます。(笑) <注・「真夏の振り子」の歌詞の一部は、11月公開の宮崎駿監督「ハウルの動く城」のクライマックスで主人公のセリフとして使用されている> |
カ・ | 話題性ってことにも考慮しているわけでしょう。ただ、面白いのはそれらの曲がやっぱりきっちり違う解釈がされていて、別物になっている。 |
覚・ | 一枚でも多く売れますように、でも魂は売らないように、と、ありったけの知恵を絞るわけですよ。(笑) 以下次号… |