「青空1号」リリース記念インタビュー 第2回    (聞き手/カストル)
 
カ・ ところで、鶴来正基さん作曲のこの「セーラ」という曲が今回のアルバムの核になってレコーディングが始まってるとか。
覚・ そうそう。プロデューサーの岡田さんは、15年前都内を中心にライブ活動していた、鶴来さんと私のユニット「om」を聴いて、この曲を評価してくれていたんです。あれから忘れずにずっと覚えていてくれて、去年の冬に「ようやく”その時”が来たよ。さあアルバム作るなら今だよ」なんて煽られ、お尻を叩いて励ましてもらって、レコーディングが実現しました。
カ・ CDを創りたいという気持ちはずっとあったんですか。
覚・ 今回創ってみて、ずっとそれを持ち続けていたんだってことに気がつきました。CDを作りたいというより、つまり音楽をずっとやっていたいという気持ちを持ってたっていうことですよね。
カ・ 覚さんがメンバーとして参加しているマーシュ・マロウ(女性5人のバンド。全員がボーカルと楽器を必ず担当することが掟のオリジナル無国籍音楽団。上野洋子、丸尾めぐみなどがメンバー)の活動もそういうことの延長線上にあるんですよね、きっと。
覚・ そうですね。10年前からやっている朗読も、バンド運営の大変さがないというシンプルさだけから発想した部分もあるくらい。朗読も言葉の音楽ステージ的なアプローチで始めたという感じがしますものね。
カ・ レコーディングはレポでも様子が少しわかりますけど、実際どんな感じだったんですか。
覚・ 「セーラ」を中心に、鶴来曲5曲がまず決まって、一応話題性を狙いつつ「いつも何度でも」カバーを歌唱と朗読の2バージョンでやることが決まって、という具合に、曲目のメニューは、岡田さんと話し合って決めていきました。
カ・ すでにある楽曲から録音していったんですね。
覚・ そうですね。岡田さんのプライベートスタジオAMORでやったのが7割ぐらい。あと新宿御苑のグリーンバードというスタジオも使いました。それからレコレポでも出てきた鶴来さんの自宅スタジオを2日間ぐらい。
カ・ 噂の「洋服の青山スタジオ」ですね。
覚・ 桜が満開の頃、ピアノ中心の鶴来曲は、全部そこでオケ録りしました。
カラオケありきで、歌は気の済むまで練習したものを録れる、というメリットもあったけど、演奏の呼吸が合わせにくいという弱点も勉強しましたね。
もちろん歌がうまい人はこのかぎりではないでしょうけど。(笑)
03年の12月に「セーラ」の1曲入り限定CDを作ったのから計算するとおおむね10ヵ月かかってますね。その間ずーっと作業しっぱなしだったわけじゃないけど、気持ちはつないでいるから結構エネルギーは要りました。
カ・ 覚さん電磁波に弱かったんですよね。スタジオワークは大丈夫だった?
覚・ ボーカルは何度か歌って、macのプロトゥルスというソフトでデータを編集するんですけど、ディスプレイの1メートル前に近付くと、やばい感じがしましたね。(笑)
カ・ 身体あんまり強くないですもんねえ。
覚・ ねえ。ミュージシャンはみんな強健だよね。岡田さんなんて55才で睡眠時間4時間生活をひと月も続けるんだよ。私、8時間寝ないと死ぬのに。
大詰の作業で深夜に及んで、へろへろになって朝8時に帰宅して鍵ガチャガチャやってたら、お隣のウチの人が玄関前を掃除しに出てきて「う、お、オハヨウゴザイマス」なんてアセったりすることもあったなー。

以下次号…

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