2010年5月26日 valb モモランチレーベルより発売!アバンギャルドの森を通り抜けたあとの青い空覚 和歌子2枚組セカンドアルバムカルミン

二枚組セカンドアルバム「カルミン」スペシャルインタビュー

場所 学芸大学駅前某レストラン
聞き手 カストル

カストル(以下 カ)    久しぶりですね。
覚 和歌子    2週間前に会ったじゃん、パソコン教えに来てくれて。
カ   
違いますよ、アルバムリリースがですよ。
覚   
あー、そうですね、5年半ぶりですね。
カ   
答えを知っていながら、とりあえずこの質問から聞いときます。2004年秋リリースの1stアルバム『青空一号』から、2ndアルバム『カルミン』がなぜ5年半も空いちゃったんですか。
覚   
実は『青空』を出して、翌2005年の春からもう『カルミン』を作り始めていたの。「この分でいくと2006年には出来上がるか」っていうくらいの勢いで5曲までレコーディングしたの。でもその頃(2006年)映画『ヤーチャイカ』が始動して、そこから足かけ3年半、実質2年間、『ヤーチャイカ』にかかりきりになった。ロングスパンの仕事をかけもちでやれるほど器用さも体力もなくってさ
カ   
『ヤーチャイカ』のときは覚さん、亡霊みたいになりながらやってましたもんね。あれ見ちゃうと、並行してできることなんかないだろうなと。
覚   
うん。今だからいい経験だったって言えるけども。
カ   
制作の間が空いて、結果的に良かったことってあります?
覚   
全体を俯瞰して、客観的に見られたところかな。レコーディング後半は、自宅の地下に録音機材を買い込んでスタジオにしてそこでやったの。それを思い切れたのは、制作の間が空いたその時間にいろいろ思いめぐらすことができたせいだと思う。<時間いくら>の束縛から解放されて歌入れをひとりで好きな時間に納得いくまでやれたのはよかったし。
カ   
“モモランチ スタジオ”ですね。
覚   
うん。レーベル名も“モモランチ レーベル”にしたの。
カ   
意味、聞いてもいいですか。知ってるけど(笑)
覚   
優れたインタビュアーだよね、ポイント押さえてくれて。私ね、この世でいちばん好きな食べ物が桃なんですよ。山梨で生まれたから。で「モモ」のあとにどんな響きが来ると面白いか考えてて、「ミール」とか「レンマ」とか「ランチ」とかくっつけてみてるうちに、「ランチ」はlaunchで進水式とかロケットの発射とかの意味があるから威勢がよくていいなと思ってこれにしたの。(※販売はvalbレーベル)

   

カ   
1stに続きムーンライダーズの岡田徹さんがふたたびプロデュースしてますね。
覚   
今回も、ともすればくじけそうになりそうな心を力強く叱咤激励してもらいました。丸尾さんも、谷さんも、陰に日向に支えてくれましたけど。
カ   
アバンギャルドの森を通り抜けたあとの青い空、っていうのは・・・。
覚   
そう、岡田さんのキャッチコピー、うまいですね。
カ   
実は僕、2ndは1stよりさらにアコースティック度が増すんだろうなと思っていたので、こうきたかと思って意外でした。
覚   
まごうかたなきアコースティックなんだけど、今回は方向性として<素朴系>に行かなかったってことなんだよね。
カ   
そうそう。サウンドは<洗練系>に向かいましたよね。
覚   
「惚れ薬」みたいなシャンソンぽいのもあるし、「死にそうな日の笑い方」みたいなワールドミュージック的なのもあるし「眠れる更紗」みたいな歌曲的なもの、「銀河」みたいなアイリッシュのカバーもあるけど、総合すると”土の匂い”はとれてる。ほとんどの曲選定は私がして、アレンジのアイディアもいろいろと出したりしたけど、最終的にまとまり方が予想以上に都会的になったなっていう感触はあります。
カ   
で覚さんの声が“冨士山のバナジウム天然水”みたいなことになってるので(笑)、岡田さんのキャッチコピーが生きてくる、と。
覚   
そうなんだ。
カ   
あと1stはファミリーユースを意識してたみたいですけど、今回は全曲大人の世界ですよね。恋愛の歌も多くて。
覚   
そのへん実はあんまり考えてないんだよ。そもそも幼児から老女までメンタリティだけは何歳にもなれるから逆に年齢を意識して詞を書かなかったというだけ。行き当たりばったりなの。ほとんど曲先で作ったんだけど、曲はある程度詞の世界を決めてやってくるものだから、それにまかせたというか。そういう意味では特定のユーザーを狙ってない。
カ   
そうなんだ。無計画なわりには、統一した世界観がありますよね (笑)。
覚   
ファンじゃない人に手にとってもらうために「星つむぎの歌」を入れたんだけど、これだけ財津和夫さんの曲でやっぱり歌メロ傾向が他と全然違って面白いよね。

   

カ   
牽引曲は映画『ヤーチャイカ』主題歌「夕焼けは星空のはじまり」もありますね。
覚   
岡田さんが「すんごい名曲だ」って言ってくれてうれしかった。
カ   
歌唱は今回どうだったんですか。
覚   
宅録という初めての経験は、とってもベンキョーになりました。次回に生かせることをたくさん得た気がしますね。
カ   
たとえば?
覚   
身体のコンディションの調整の加減とか、機材との付き合い方とか、気合いの入れ方とか。
カ   
時間かけました?
覚   
うん。でも時間があればいいというものでもないってこともよくわかった。歌唱に限らず、アルバム全体がとにかくきちんと気持ちを掛けて作られてる感じが出てるでしょ。これにデナリさんのとんがってるジャケットの味わいが相まって・・・。
カ   
あ、それについては僕が感想書きますので言わないでいいです。
覚   
ほんと。うれしいな。いいこといっぱい書いといてね。
カ   
いや僕まだお子ちゃまなんで嘘つけないんですよ。感じたままを書かせていただきます。3rdも作りますか。
覚   
作ります。もう新曲があるんだもん。6/11のライブ(※都合により延期・変更日程など詳細は追って告知)でやりますけど。それと今回はちょっとした仕掛けがあります。
カ   
楽しみですねえ。
覚   
私はカストルさんの感想文が楽しみだ。
 
 
 
そのカストルの感想文はこちら